だいたい、「自分の声、大好き!」という人には、
あまりお目にかかったことはありませんね…。
初めて自分の声を録音して聞いた時に、
「えー私ってこんな声なの?」
ってショックを受ける人は多いですよね。
以前、あるラジオのパーソナリティをされている方と
ステージをご一緒したことがあります。
私は、その方の声とか語り口調が大好きで、
よくラジオを聴いていたので、楽屋で
「本当に素敵な声ですよねー」
って話しかけたら、
「私はこんな変な声、嫌いなんです。あなたの歌声の方がずっと透明感があって素敵ですよー」
っておっしゃったんです。
いやもう恐縮というか、びっくりでした。
おそらく話しかける順番が逆だったとしても、
きっと同じ会話が続いたことでしょう。
だから、
「私は自分の声が嫌いなの。だから歌を習って発声を変えたいわ!」
と思っている方がいたら、ちょっと考えてみてください。
声のプロでも自分の声は好きじゃない人が多いんです。
もちろん、発声法を身につけることで、
出せる声の幅を拡げることは可能ですが、
自分の声でなくなることはできません。
それは、フルートにはフルートの響き、
バイオリンにはバイオリンの響きがあるように、
自分には自分しか出せない声があるんです。
大きな楽器は低い音が得意、
小さな楽器は高い音が得意、
楽器の形によって、様々な音色があります。
また、どんな楽器でも(一部の電気楽器を除きます)
単一の音色しか出せないわけではなくて、
演奏の仕方によって、いろんな音色を出す事ができます。
ただ、その方法を知らないだけなんですね。
ボーカリストは。
実際には、普通に生活している中で、
腹の底から笑う声とか、
ひそひそ声とか、
猫なで声とか、
怒鳴り声とか、
人はいろんな声を使い分けているのですが、
あまりに無意識に行っていることなので、
いざ「腹から声を出して!」と指示されると、
どうしていいかわからない人がとても多いんです。
まずは、それらの声を「意識して」出すことで、
自分が普段、身体のどこを使って声を出しているのかということがわかってきます。
例えば歩いている時、
自分の身体のどこに重心があるかとか、
次に出す足は右か左か、とか考えてないですよね。
一連の流れとして脳にインプットされています。
でも、歩き方にそれぞれ癖があるように、
声の出し方にも癖があって、
まずは自分の身体が楽器であることを意識しないと、
直すこともできません。
暇な時に、自分の声を観察してみてくださいね。
さて、自分の声の好き嫌いは置いておくとして、
では、好きなアーティスト、嫌いなアーティストについても、
次回ちょこっとひもといてみようと思います。