今日は、3つの例について、書道に例えてみます。

まずは、音程がバシっと決まらず、うやむやに歌ってしまうタイプ。
次に、個性的な表現で注目をひきたいのに、うまくいかないタイプ。
そして、自分の癖が把握できないために、せっかくレッスンを受けても何も変わらないタイプ。

■正しい音程は楷書体で覚えよう■

最近のカラオケにはとてもわかりやすい採点システムがあるので、
自分が歌っている音程が上に外れているのか、下にズレているのか一目瞭然です。
そこを直せば点数は簡単にアップします。

とは言っても、じゃあどうすれば上げたり下げたりできるんでしょう。
この部分にはいろいろな要因がありますので、一言では言いつくせませんが、
今日は、正しい音程そのものを把握できていないケースについて解説してみます。

まずはこちらの字をごらんください。

日本人なら大抵の人は読めるし書けますよね。
では、このお手本を見て、外国人に同じものを書きなさいと言ったらどうなるでしょう?

おそらく偏はイナズマのような形に書きますよね。
真ん中の「艮」の部分も余計な線が入っちゃうだろうなぁ〜

日本人は、この字が次のような形であると知っていますし、
書き順も知っています。
四角いマスの中に書く場合、どのあたりの場所に、どの形がくればいいのかをわかっているんです。

もうわかりましたよね、音程がうやむやになっている人のうち、
約半分ぐらいの人が、このように「正しい音程の場所」があやふやな人なんです。

■いきなり書道の大家にはなれない■

では次に、「自分らしさ、個性的な歌を目指したい」という人のケース。
字に例えると、楷書体で書かれた字はきれいだし、読みやすいけれど、面白みはありません。
歌も同じです。
パーフェクトな音程で、音圧も一定なら、メロディはわかりやすいけれど、感情がまったく伝わってきません。

一般的に、魅力的なアーティストの歌は、楷書体の字のような歌ではないということです。
いろんな筆で、それぞれ個性的な崩し方で、躍動感のある文字のような歌い方をしていますよね。

でも、先ほどの例にあげたように、草書から真似しようと思っても、バランスのいいかっこいい字にはならないんです。
逆に言えば、基本がしっかりわかっているのなら、そこからどんどん崩していくことができます。

■自分の癖を把握して意識して変えてみる■

では、自分が普段書いている字に、どんな癖があるのかわかっていますか?
右上がり?右下がり?
小さく書く?はみ出して書く?
四角の角を丸く書いている?
ハネやはらいに癖がある?

では、今日からその癖を直して書き方を変えてください。
と言われたらすぐにできるでしょうか?
意識して書けばなんとかなるかもしれないけれど、
ちょっと気を抜いたらもとの癖が出ちゃいますよね。

歌もまったく同じこと。
レッスンで先生が指摘することは、自分が気づいていない癖であることが多いんです。

いつも同じところを指摘されてしまう、という方は
いつも同じ場所に同じように力を使って無意識に歌ってしまっているのかもしれません。

なぜそのような癖がついてしまったのか、どうすればそこが変えられるのか、
しっかり意識して練習してみてくださいね。

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