歌を習いにいらっしゃる方で、音程を気にされる方はとても多いのですが、
リズムを意識している方は意外に少ないんです。
だから自分ではお手本通りに歌っているつもり、
先生がやっている通りにリズムをとっているつもりなのに、
「そこのリズムが違いますよ」と言われて悩む人も多いのです。
今日は、ヒップホップダンスも習っているのに、リズムがうまくとれていなかった生徒さんのお話を。
高校生の男の子で、ダンスが大好き、こちらが指示していなくても、
勝手に複雑な振付けで歌い出します。
一見かっこよく見えるし楽しそうなんだけど、なんか違う……
音楽と動きが合っていません。それを伝えると、
「ダンスの先生にもよく、音楽を聴いて!って言われるんです」と言う。
これは掘り下げる必要があるかも、と思い、
4分音符でリズムをとる練習からやってみます。
Down beatとUp beatの区別はまあまあできているようですが、時々テンポがズレます。
一定のテンポを刻むことができず、時々すべるように早くなってしまいます。
こういう場合、リズムを聴いておらず、メロディや他の音に焦点が合っているために、
テンポがキープできない場合もよくありますが、
彼の場合、ドラムの音を集中して聴いてもらうようにしても、やっぱり少しズレるんです。
よくよく観察してみると、どうやら右足と左足でズレ方が違っています。
左右に交互に重心をかけるステップをしてもらうと、
右に重心がある時は、テンポにノレているのに、左に重心がある時は早くなる。
そこで音楽を止めて、片足で立ってもらうと、
右足で立つことはできるけど、左足ではすぐにバランスを崩してしまいます。
つまり、彼の場合、左足に重心をかけた時に、しっかりバランスをとることができないでいたために、
ステップする時に、なるべく左足に重心が乗る時間を短くしようとして、
そこでテンポが早くなってしまっていたんですね。
そりゃ音楽にも乗れないし、歌う時にもリズムがズレるわけだー!
この後、片足で立つ練習をしたらとてもリズムがよくなってきました。
歌は「身体が楽器であること」は常々言っているのですが、ダンスも同じですね。
バランスや重心、見えない筋肉の状態などが、音楽を演奏する上で実はとても影響しているのだと思います。
歌を歌う前には、ぜひストレッチを取り入れてみてくださいね。