長年通ってくださっているある生徒さん、基本的には音程も悪くないし、発声もきれいだし、表現力もあるんだけど、肝心なところで力が入らない。
肝心なところというのは、いわゆるサビ的なところだったり、曲の中でもっとも伝えたいと思われる歌詞だったりするところで、たいていの場合、高音で歌う部分ですね。
高い音程を歌う時には、それなりに息の量も必要だし、声帯をコントロールするための筋肉も必要です。
その生徒さんは、なぜか思い切り力を入れなくてはいけないところで、フッと力を抜いてしまう癖がありました。
その都度、もっと思い切り声を出していいんですよ、とお伝えするのですが、なかなかできません。
ちょっとここで運転に例えてみようと思いますが、自動車学校で「急ブレーキを踏む練習」という項目がありませんでしたか?
普通に運転していれば急ブレーキを踏む機会はそうそう多くないため、本当に危険な場面でとっさに急ブレーキを踏むことができず、事故が起きてしまうことがあるそうで、それを防ぐために、自動車学校でそのような練習が取り入れられたと聞きました。
つまり私たちは、普段の生活の中で、思い切りアクセルを踏んだり急ブレーキを踏んだりする機会がなく、いろんなシーンで行動にリミッターがかかっています。
歌う場合も同じで、普段は大きい声を出すことは迷惑行為だと思われているので、大事な時に「助けて〜」とか「危ない〜」とか言えないような筋肉の使い方をしちゃってる人がとても多いんです。
ある日のレッスンで、その生徒さんは、なぜか最初からリミッターなんてなかったように、いい声が出ていました。
何が起きたんだ?と話をよくよく聞いてみると、その日、レッスン会場の近くの駐車場がどこも満車だったので、かなり遠い駐車場に停めて、汗だくになるほど小走りで来たと言うんです。
なるほど〜!
会場に着く前に呼吸エンジンがあったまってたわけです。だから普段は抑えめに歌っていたのが、いつもよりたくさん息を使って歌う羽目になってたんですね。
これからは、歌う前に、どこか一周走ってからにしましょうか、とオススメしました。
そんなバカなと笑っていらっしゃいましたが、一度リミッターをはずした感覚を経験すれば、たぶんもうそんなに走ったりしなくても大丈夫なはずです。
本人が気づけない、見えないブロックをはずすのに、意外な方法が効果があったということです。ダメ元でぜひ試してみてくださいね。
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